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八月納涼歌舞伎「輝虎配膳」「たぬき」

201408kabuki_2三津五郎さんの元気な姿を見たいと思って、八月納涼歌舞伎の二部に行ってまいりました。

まずは「輝虎配膳」。武田信玄の重臣山本勘助を家来にしたい長尾輝虎(橋之助)は、娘唐衣(児太郎)を訪ねてきた勘助の母越路(萬次郎)をもてなしますが、越路は従おうとせず、越路につきそってきたお勝(扇雀)と立ち回り…というお話。

唐衣、越路、お勝がいかにも武家の妻女のきりっとした所作で気持ちがいい感じで始まります。児太郎、先日の「ぢいさんばあさん」より声が低めで、美形の若妻。ひいきの扇雀さんはもちろんびしっと舞台を締めています。しかしなんといっても萬次郎さん。彌十郎の直江が「この衣は将軍にいただき輝虎が一度着たもので…」と土産を渡そうとするのを「古着ということか。これまで古着は着たことがない」とびしっと言うのが、「そうだよ古着だよ」と、あやうく声をたてて笑うところでした。老女の気骨の痛快さ。

輝虎は、憎たらしいながらもどこか憎めない気持ちのいい見得、お勝が琴を奏でながら必死に輝虎に立ち向かうのが盛り上がります。お二人の今が盛りのエネルギーが発散される勢いがよかったです。

花道の退場の萬次郎さんと扇雀さんのかっこよかったこと。歌舞伎らしい演目でした。

次はいよいよ大仏次郎作の「たぬき」。流行病で亡くなった金兵衛(三津五郎)は、桶から生き返り、老隠亡(死体を焼く人)の山左衛門の助けで着物を着換え、家つき娘の本妻(扇雀)のところでなく、妾お染(七之助)と暮らそうと思ってその家に行きますが、お染は早々に間男(獅童)を引き入れてよろしくやっていました。金兵衛はお染の家においてあった自分の金を持って横浜で別人として暮らしますが、ある日仲間と芝居を見に来て、太鼓持ちであるお染の兄(勘九郎)に再会し…。

歌舞伎と言うより、上等な人情時代劇という雰囲気です。死んだはずの夫が生き返って女が間男していて…というのは、昨年の狐狸狐狸話と似ています。三津五郎さんの生き返ったびっくりやお染を見てのがっかりや、こっそり会った息子がまっすぐ自分をわかったのを見て元の家に帰る覚悟に、はらはらしたりしんみりしたり。とくに前半は、チラシなどに名前は出ていませんが山左衛門さんの温かみのある言葉やしぐさがとてもよかったです。
この後に読んだ三津五郎さんの「歌舞伎の愉しみ」 では、この演目の穏亡役は、脇役の役者がやる方が、金兵衛との立場の違いを強調してよいのだと書いていましたが、たしかにいい役なのに幹部ではない役者ならではの味があってよかったです。

七之助は、歌舞伎の世界のなかでほんとに惚れたり裏切ったりするリアル感があってこういう役はぴったり。獅童も、期待通りの色男でした(この方の歌舞伎での立ち位置って今一つわからないんですが)。

勘三郎さんの急死の際の報道でよく出ていた七緒八くんが、意外なくらい大きくなってて、重要な役どころ。ねえやに抱かれてもずっと父ちゃんを見ているところがかわいかったです(このねえやがコントのように男っぽくて)。

金兵衛がお染の兄と再会する場面で、かわいい芸者に目が行きましたが、やっぱり志のぶだったのかな。一部にはクレジットされていたので、多分そうかなと思うのですが、とってもかわいらしくてにっこりしました。

(2015年2月23日追記)
2月21日三津五郎さんが亡くなりました。三津五郎さんのこれが歌舞伎での「最後の」姿になってしまうなんて、悲しくてたまりません。時代物も、世話物もいける役者さんでしたが、著書を読んでから、舞踊をじっくり見たいと熱望していたのがかないませんでした。「歌舞伎の愉しみ」には、二代目松緑、芝翫、六代目歌右衛門らの名優の教えを受けたことが書かれていて、それを次代に残したいと願っていたでしょうに。
お正月の浅草歌舞伎の巳之助さんの言葉は、長くない父を思ってのことだったんですね。さよなら名優三津五郎さん。

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