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コクーン歌舞伎「三人吉三」

Saninkissa_2 初めてコクーン歌舞伎を見に行ってまいりました。演目は「三人吉三」3幕、通常は大川端の場面のみが上演されることが多く、私も歌舞伎座で菊五郎、仁左衛門、幸四郎と大御所の華やかな舞台を拝見していますが、この舞台はいわばフル・バージョンです。シアターコクーンは初めてですが、幅も高さもこじんまり、たいへん見やすい劇場でした。これくらいの小屋で若いお客さんを前に歌舞伎を演じたいと思った勘三郎さんの目の付けどころがよかったということですね。

いやー、面白かったです。

私は、歌舞伎も普通の演劇の感覚で見てしまうのですが、今のように「みどり」(全体のうちいい場面のみの上演)では、説明不足や尻切れでの幕切れが気になることがあります。この舞台のように台詞や演出を少し補ったうえでの通しで上演してくれると、現代劇で見たとしたら少し無理があるようなストーリーも、その矛盾を気にすることなく、芸を積んだ歌舞伎役者の魅力を存分に味わえます。そういう意味では、私にはとっても見やすい歌舞伎でした。

また、大御所の至芸をみられるのはうれしいですが、演目にふさわしいちょうどいい年ごろの俳優が揃って、ぴたっとその役にはまるような演技を見せてくれるのも、これはこれですごくいいものだなあと思いました。

「三人吉三」は、吉三と同じ名をもつ3人の悪党とその兄弟たちが、盗まれた名刀とその代金百両に振り回されるお話で、「あらすじで読む名作歌舞伎50」で読んだときはなんだか複雑なへんな話だなと思いましたが、そこは演出がうまく導入部をつくってくれましたので、あとはすんなり物語の世界に入っていけます。こう見てみると、もともとこの作品、河竹黙阿弥の名作で、見せ場もあり、人間の性をみせつけるところもあり、萌要素もあってよくできた作品です(くわしくは「三人吉三巴白浪」のあらすじ でどうぞ。このサイト、読んでいても面白くてたいへん参考になります)。

三人の吉三、女装のお嬢(七之助)、お坊(松也)、和尚(勘九郎)が、三人ながら華やかで美しく声もよくて、勢いがあって、くっきりとキャラが立っていて、もう気持ちがよいくらい。七之助ははまり役といってもいいくらい娘と男との入れ替わりが鮮やかでしたし、松也がほんとにいい男で動きも軽快。ミュージカル「ロミオとジュリエット」で注目して以来、前田敦子ととのことで有名になりましたが、歌舞伎をやるのを初めてみて、改めていい役者だなあと思いました。お嬢とお坊が死を決意するシーンなど、お嬢が男だとわかっているはずなのに心中のように色っぽくて楽しませてくれます。そして兄貴分の勘九郎もさすが後半に向けてどんどん包容力を見せてくれて泣かせます。

他も、大好きな亀蔵、こういう役が板についてる笹野高史、また知らない怪優をみつけてしまった笈田ヨシ(お寺の源次坊役)と芸達者が楽しそうにやっていましたし、3人に次ぐ役どころの十三郎(坂東新悟)、おとせ(中村鶴松)も初々しくて新鮮でした。坂東新悟くんは、まだ24歳の彌十郎さんの息子だそうですが、そうとは思えないような(失礼!)、声のきれいな、優男です。鶴松君は中村屋の部屋子になってから、大事にされている人ですね。

演出は串田和美、彼の演出の「法界坊」をシネマ歌舞伎で見ましたが、こちらもそれと同じように、テンポよく、緩急自在で、舞台装置も衣装もよくできていました。とくに3幕はおまけ的なものかと思っていたら、それまでとぐっと変化のある華やかな舞台がとってもよかったです。

カーテンコール(スタンディング オベーションだった)が終わるまで3時間半。これだけのお芝居を、出演者が精一杯演じる舞台の記者会見で、松也の恋愛のことなんて質問されたら、そりゃ、串田さんが怒って退席してしまったというのも当然だな、と思い起したことでした。

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