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渡辺保「名女形 雀右衛門」

Zyakuemon_2あらすじで読む名作歌舞伎50」に載っている、2004年頃までの現役役者のどれも美しい舞台写真のうち、雀右衛門さんだけが高齢(1920年生まれですよ)なのにどの写真もあまりに若若しく美しいので、いったいこれは何かの間違いなのかと、歌舞伎評論家渡辺保さんの「名女形 雀右衛門」を読んでみました。

子どもの頃から歌舞伎を見ているという渡辺氏は1936年生まれですので、戦後すぐ亡くなった六代目菊五郎をはじめ、数々の名優の舞台も見ており、最初の章はそうした名優を中心とした女形論になっていますが、残りの250p近くは、雀右衛門の生涯を述べた1章を除き、すべて平成10年代以降の、雀右衛門80代を中心とする名舞台への賞賛になっています。

雀右衛門は、車の運転ができたために、大事な20代の7年間を悲惨な戦場で過ごします。帰還してから7代目幸四郎の勧めにより女形を目指し、親友の筋である名跡雀右衛門を継ぎます。しかし7代目梅幸や6代目歌右衛門の世代と、芝翫や玉三郎の世代に挟まれ、立女形としての芸が花開いたのは70代になってからでした。

長年歌舞伎を見てきて、所作のひとつひとつにも詳しい著者が、単なる女優ではなく、形を重んじながらも細やかな心を表す雀右衛門の演技をどれだけ高く評価していることか、驚くほどです。濃厚な、とか、こってりとか、鮮やかなといった表現の連続。私が不思議に思った、年齢や素顔からはかけ離れた女形ならではの美貌よりも、その心の演技を心から愛しているのがよくわかります。

とはいえ、雀右衛門は見た目も美しくなくてはと思う役者で、トレーニングや化粧法にもたいへん凝ったひとだったようです。私は未熟者で、やはり男を迷わす美女役は美しくあってほしいと思ってしまうので、つくづく、演技と美貌を兼ね備えた雀右衛門を見たかった、と思います。2010年が最後の舞台といいますから、89歳まで現役で、その2年後、つい昨年に亡くなったばかりで、残念でした。

女形に限ってではありますが、有名な演目の演技のみかたについても、たいへん勉強になる本でした。惜しむらくは、もう少しカラー写真があったら、と思います。

 

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