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杮葺落五月大歌舞伎(その2)第2部「伽羅先代萩」「夕霧伊左衛門廓文章」

五月大歌舞伎、第2部です。第2部は、主役以外にも見たかった役者さんがいっぱいいて、楽しみにしていました。

1つめは「伽羅(めいぼく)先代萩」。お家騒動に絡んで、乳母政岡(藤十郎)の子どもの千松(市川福太郎)が、主君の鶴千代を守るため敵方の栄御前(秀太郎)の持ってきた毒菓子を無理やり食べ、さらに八汐(梅玉)に斬殺されますが、政岡は動じません。それを見た栄御前は自分の側に寝返ったのだと思い、政岡に連判状を渡します。栄御前が去ると、政岡はわが子を抱いて慟哭します。

わが子が身代りにというのは、寺子屋と同じですが、こちらは政岡を筆頭に女形中心のお芝居で、ほかにも政岡側の沖の井(時蔵)、松島(扇雀)と、きりりとした女形たちで舞台が華やPhotoかです。昨年の勧進帳の義経ではよくわからなかった藤十郎さん、慈愛と激しさを見せてくれて、とても80歳を超えている方とは思えない迫力でさすがでした。この方の女形のこしらえというのも、なんとも自然でいいのですね。秀太郎さん、やさしい役が似合う方のように思いますが、この敵方の奥方をきりりと演じていて、目が離せませんでした。中村組でコミカルな演技を見せていた扇雀さんも、時蔵さんと緊迫感のある場面をつくっていました。

そして床下の場、荒獅子男之助(吉右衛門)と仁木弾正(幸四郎)の場面は、短いですが、お二人がそろって姿がよく、似ているところがまたこのシーンに合っていて、おお、と思いました。

子役の千松はセリフも多く、動き(死体の動かなさも含めて)も難しくて、子役というよりは立派な一役なんですが、歌舞伎ファンには注目されていた子のようで、普通の子役から市川家の部屋子になって「福太郎」となったのが話題になっていました。そういうことをみていくのも歌舞伎の楽しさなんでしょうね。

2つめの「廓文章」、仁左衛門の伊左衛門と玉三郎の夕霧、という、黄金コンビをついに実際に見られるのを楽しみにしていました。

勘当されて落ちぶれている仁左衛門、馴染みの夕霧恋しさに吉田屋にやってきます。落ちぶれているのを知っていても温かくもてなす主人(彌十郎)とおきさ(秀太郎)。この二人はやっぱりいいなあ。

仁左衛門さんって、ほんとうに白塗りの色男が似合います。夕霧を待つ間のコミカルな動きがまた実に面白い。そして、再会した夕霧に素直になれないかわいらしさ。一方、花魁姿の美しい玉三郎。実は肝心の仲直りの経緯をちょっと見落とした感じになってしまったんですが、勘当が解けて、夕霧の身請けのための千両箱が次々と運ばれてくるのはいかにも景気がよく、気分よく終わりました。

初心者なりに思うに、歌舞伎は他の演劇ジャンルに比べて、興業の多さや修行の長さ厳しさのためか、端役に至るまで俳優の技能が高いですし、音楽や謡、衣装、そして舞台装置は簡易なんですが、劇場全体の雰囲気なども素晴らしいと思います。

一方で、決まりごとも多いほか、話の途中だけをやることはもちろん、話の流れも同じテンポでいかない――普通の演劇だったらこのエピソードはこのくらいの時間をかけてやるというのが予想できるのに、展開が遅かったり早かったりする――ので、飽きたり見落としたりしてしまうんですね、初心者としては。

全部は受け入れられないけど、とびきりの感動もたくさんある――自分の好きな歌舞伎をみつけていけたらな、と思ってます。

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