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三谷幸喜「おのれナポレオン」(追記あり)

20130412_napoleon_01_2(宮沢りえ代役の件について追記しました)

三谷幸喜が野田秀樹を主演として脚本を書いたことで話題となった「おのれナポレオン」。さらに共演が内野聖陽、山本耕史、天海祐希と、人気・実力を備えた俳優が揃って、いろいろなメディアでの露出もあって、チケットがとれないこと半端ではなく、とってくれた友人に大感謝でした。

東京芸術劇場プレイハウスはこじんまりとした(でも2階席がある)、しゃれた劇場で、すこしタテになって横にもお客を入れた舞台からは、俳優の声も姿も近くて、生の演劇空間を堪能することができました。

お話は、セントヘレナ島に追放されて亡くなったナポレオン(野田秀樹)の死までの生活について、主治医アントンマルキ(今井朋彦)、側近モントロン(山本耕史)、モントロンの妻でナポレオンの愛人アルヴィーヌ(天海祐希)、イギリス軍の監視役ハドソン・ロウ(内野聖陽)、ナポレオンの身の周りの世話をするマルシャン(浅利陽介)が語るというもので、当時と20年後の現在とを行ったり来たりしながら、謎解きの趣で進みます。

さて、野田秀樹。私が野田秀樹の舞台を見ていたのは、ずいぶん前の夢の遊眠社時代なので、あのエネルギッシュな動きと人を食ったようなセリフ回しは今どうなってるのかな(きっと変わってない)と思いながら楽しみにしていたのですが、期待以上でした。容姿を含め、才能も性格も常人とはかけ離れた天才ナポレオン。この設定により、野田秀樹には何をやってもかまわないという自由さが与えられ、彼は彼にしかできないナポレオンを見せてくれたという感じでした。セリフ1行1行をどう多彩に見せるか、この舞台、演出も三谷幸喜ですが、野田秀樹自身のアイディアがつまっているのではと思います。

内野聖陽が一番ナポレオンと対極のキャラクターで、プライドの高いイギリス軍人役を見事に演じていました。彼のキャラが強烈であればあるほど、ナポレオンが引き立つというか。さすが今最高に脂が乗った俳優で、立ち姿も表情も美しく、ほれぼれしました。

もう1人のお気に入りの山本耕史、やや屈折した役ですが、芝居的にはもう少し彼に見せ場があってもよかったかも。すらっとした二枚目ですが、好青年(としてはもう少し年か)の中に暗いものがあるのが彼の魅力なのにと思いつつ、山本耕史自身というより脚本の作りの問題かなと思いました。

天海祐季、これだけのキャストの紅一点として、存在感はバッチリ。コメディエンヌとしての演技も楽しませてくれました。ただ、ナポレオンの愛人としての情感がもうちょっとあってもよかったかなという気もしました。この役、とことんかわいらしいけど毒のあるタイプの女優もありかなと思いました。

あとの二人は初めて見たのですが、今井朋彦は声もよく、機敏な浅利陽介はナポレオンの忠実な僕をきっちり演じていて、他の有名俳優たちにひけをとらない好演でした。

休憩なしの2時間20分、作品としては休憩を入れるか、もう少し短くするという選択肢もあったのでしょうが(三谷幸喜って映画も編集が甘いのは、自分の書いたものを切るのが苦手な人なのではという気がします)、だれることもなく最後まで突っ走ったのは、このキャストならではでしょう。

カーテンコールは2回。盛大な拍手にも関わらず3回目はなし。カテコの数はともかく(多けりゃいいってモノじゃないので)、この熱演に、立ってこたえて上げたかったと、2回目のカーテンコールで、最初に立つ勇気のなかった自分に、少なからず後悔した夜でした。

(追記)

天海祐希が、ライブビューイング目前でまさかの急病!さぞ無念だったと思います。ゆっくり療養して、元気になってほしいですね。ちょっとへんなこと書いて、ごめんなさい。

そして、2日間の準備で舞台に上がった宮沢りえ。野田秀樹との関係で引き受けたのでしょうが(引き受けさせた野田さんもえらい!)、Twitterでみると、見事に宮沢りえならではのアルヴィーヌを演じたそうで、膨大なセリフもほとんどかまず、代役を逆手に笑いまでとっていたとか。

最近の活躍は知ってはいましたが、この舞台を見ただけに、たった2日間でこの役を演じたすごさがわかります。かわいかった10代の宮沢りえ、いろいろあったけど、こんな女優になるなんて、思わなかったな。

(追記その2)

その後無事に千秋楽までの4公演を無事に務めた宮沢りえ、いろいろな話が伝えられていますね。

天海祐希が休演やむなしとなったとき、三谷幸喜は、中止を覚悟したそうです。これだけの評判となった舞台の主要キャストが急に倒れたとあっては無理もないでしょうし、誰も非難はしないでしょう。それを宮沢りえならできる、と主張して彼女を説得した野田秀樹。成功したから美談になりましたが、もしできなかったらカバーのしようがない舞台、宮沢りえのことをよく知っていて自信もあったのでしょうが、相当なバクチだったと思います。同じ舞台に立って、自分が何とかするつもりもあったでしょうが、導入部の一人語りなど、どうしようもない部分も多いのに。さすが野田秀樹。こういうお芝居ではそうは言わないのでしょうが、まさに「座長」でしたね。

そしてアルヴィーヌといちばん絡みの多かった山本耕史は、三日三晩徹夜で、翌日の制作発表を欠席しましたね。ものすごいプレッシャーと、その中でも間に合わせではない作品にしようと、がんばったんだなあ、彼らしいと思いました。「チック、チック、ブーン」では演出も手がけた山本耕史、きっと彼の財産になったんじゃないでしょうか。

天海祐希が入院してから代役の発表、再開延期、再開と賞賛、裏話と、1週間ほど、この話題が大きなニュースとなりました。天海祐希と宮沢りえだからでもありますが、テレビでも映画でもない、芝居の話がこんなに大きく伝えられ、広く話題となったのは、演劇ファンとしてはある意味うれしい驚きでした。

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