2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

« 石川好「中国という難問」 | トップページ | シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」 »

シネマ歌舞伎「法界坊」

Houkaibouシネマ歌舞伎のアンコール上映シリーズ「法界坊」を見ました。正しくは、「隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)」というそうです(2009年12月、平成中村座)。

シネマ歌舞伎は去年の「かごつるべ」以来ですね。

あらすじはちょっと複雑ですが、ストーリーとしては単線なので、わかりにくくはないです。

永楽屋の奉公人の要助(勘九郎<当時は勘太郎>)は実は元武士の吉田松若、吉田家の重宝「鯉魚の一軸(りぎょのいちじく)」を探す身ながら、永楽屋主人の娘お組(扇雀)と恋仲。お組は美しく、山崎勘十郎(笹野高史)はお組との結婚を条件に、一軸を百両で売るといいます。幼いころ別れた松若の許嫁、野分姫(七之助)が現れ、要助をかきくどきますが、要助はお組がいるので姫にはつれない。そこへ金と女が大好きな法界坊(勘三郎)もお組をわがものとしようとし、どさくさにまぎれて一軸を盗み出します。百両を要助に貸し付ける永楽屋の番頭正八(片岡亀蔵)もお組に惚れてます。法界坊が要助を陥れようとしたところ、道具屋甚三郎(橋之助、実は松若の忠臣)が、丸く収めて一幕の終わり。

二幕では、要助は一軸を破ってしまった(実はすりかえられていたもの)勘十郎を殺し、法界坊はお組の父、お組らと行動を共にしていた野分姫を殺し、そして再度甚三郎がやってきて法界坊を殺します。最後は舞踊劇になって、勘三郎はお組とそっくりの装束で、野分姫と法界坊の怨念が合体した怨霊という設定で要助とお組を呪おうとしますが、一軸の仏力で退散させられます。

舞踊の前までで2時間、面白くてあっという間でした。脚本は古典ですが、演出は自由劇場の串田和美で、テンポもよく、笑いどころ満載です。評判は賛否両論で、歌舞伎ファンの間では、どちらかというとやりすぎということで不評も目につきますが、芝居として面白いのだからしょうがない。歌舞伎が全部これになったら困りますけど、こういう役者さんたちでこれやっちゃいけないっていうのは頑固すぎるでしょ、と思います。この面白さは、歌舞伎の型によって、人物の類型化が台詞での長い説明なしにできているとか、俳優の体の芯がしっかりしていて所作が美しい(あたりまえか)ところからきているのかな、と思います。

もちろん勘三郎は楽しそうに、客席まで走り回ってアドリブもキレキレなんですが、動きがやっぱり面白い。細かい演技も楽しいし、あんなに見事なかっぽれは初めてみました。対照的に勘九郎、橋之助がぴしっとかっこよく(それを勘三郎がおちょくるのも楽しい)。扇雀は若々しい勘九郎と比べると年なんですが(シネマはアップが多いですからね)、かわいらしくて、だんだん皆が言いよるのが納得できてしまいます。七之助はやっぱりきれい!要助につれなくされて自害しようとすっと懐剣を出すところの間合いの面白さや、三幕で勘三郎の霊のアテレコをする黒子のときの色っぽい姿がたまりません。笹野高史が気後れもせずにやりたいようにやっているのもおかしかったですし、あれ、この人も普通の俳優さんかな、と思ったくらいの自由な怪演だった亀蔵も最高。

演者ひとりひとりのテンションとかノリがチームとしてバランスがとれていて、そこもいいなと思いました。

ところで扇雀さんって、ブログも面白いですね。前にいいな、と思った秀太郎さんのブログ もそうなんですが、出演している舞台のこと、役作りや、たくさんの写真、歌舞伎役者さんの話など、ご本人がもったいないくらいにいろいろ書いていらっしゃいます。勘三郎さんや團十郎さんの思い出話なども、身近なだけにせつなく貴重なことばがつづられていました。

« 石川好「中国という難問」 | トップページ | シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」 »

歌舞伎」カテゴリの記事

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: シネマ歌舞伎「法界坊」:

« 石川好「中国という難問」 | トップページ | シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」 »