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シネマ歌舞伎「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」――勘三郎の名演!

Kagoturube先日新橋演舞場にあったチラシで、面白そうだったので、東劇のシネマ歌舞伎を見てきました。シネマ歌舞伎は、アップも入れながら、舞台の雰囲気をよく伝えてくれて、人気の演目が見られて好きです。

このお話は、田舎から出てきた商人次郎左衛門(勘三郎)が、花魁の八ツ橋(玉三郎)にひと目惚れし、いれあげて身請けの話まで出るようになります。しかし、八ツ島には浪人の情夫・栄之丞(仁左衛門)がいて、身請けのことを知り、次郎左衛門と別れるように迫ります。地元の仲間を連れてきて自慢しようとした次郎左衛門のお座敷で、「身請けはいやだ」と言い切る八ツ島。そして4ヶ月後、すっきりした顔でこれからは普通の客として、と八ツ島に言う次郎左衛門。しかし、勧められた酒を八ツ島が飲もうとしたとき、名刀「籠釣瓶」を出した次郎左衛門は八島を斬ってしまうのでした(2010年2月歌舞伎座)。

ずっと前に、利根川進さんの「あらすじで読む名作歌舞伎50」というのを読んだのですが、こうあらすじで書くとやや無茶な展開ですね。栄之丞の使用人のおばばの世間話なんて無駄なシーンがあるのに、次郎左衛門が復讐を決意したり、商人なのに名刀を持って斬りに来る事情を説明するシーンはなくて、ラストの展開、いきなりでびっくりします。でも、花魁も美しいし、登場人物も多くて観客サービスは多いなあと思うお話でした。

さすが、映像で残されるだけあって、配役が絶妙。田舎者で顔はアバタ、でも純粋で気がよくて遊び方もきれいなので、幇間や使用人たちにも人気がある次郎左衛門に勘三郎はぴったり。歌舞伎の所作に、現代的な意味での豊かな感情表現が違和感なく同居している人です。玉三郎の花魁はさすが、長年第一人者の貫禄と迫力、美しさ。そこに出番は少ないのですが、いかにも八ツ橋とお似合いなすらっとした色男の仁左衛門。八ツ橋はいつも栄之丞に着物を届けたりして、二人の間にはきめ細やかな愛情が通っていることがわかります。いい人だけどアバタでずんぐりの次郎左衛門はやっぱり恋に破れてしまうんですね。

次郎左衛門の使用人の治六(勘九郎)がいきいきとした気のいい青年。花魁の七越の七之助がとてもきれいで可憐。この方、そういえばクドカンの「うぬぼれ刑事」でも、達者なところを見せていました。

そして、先日の国姓爺合戦でも光っていた秀太郎が、揚屋のおかみ。この方が出てくると、なんとなく面白い雰囲気が出て、舞台がぴっとしまります。もう、大好きになりました。

ほかにも、脇の方々の演技が自然で、生き生きとしていて、要所での音楽も楽しめます。ライブ録画のいいところで、よくわかっている観客の拍手や掛け声でも盛り上がって、むしろ普通のミュージカルよりも観客との一体感があるなあと思いました。

(追記)

12月5日、かねてから重態が噂されていた勘三郎さんが亡くなりました。

生の舞台を見たことこそなかったですが、この「かごつるべ」と「野田版鼠小僧」をシネマ歌舞伎で見て、ジャンルを超えた名優だと思っていたので、本当に残念でたまりません。その残念さは、松井今朝子さんのブログ「哀悼」 に余すところなく描かれています。57歳、まだまだ名舞台を残し、二人の才能ある息子たちを初め、後進を指導していくべき方でした。

フジの追悼番組を見ました。明るいながらも覚悟を決めていた様子、誰にでも優しい、スタッフへの敬意を失わない人柄に涙が出ました。大竹しのぶさんが、言葉を選びながら、家族ではないからと言いながらも的確に私たちに闘病の様子などを話してくれたのも感動しました。

死去当日の勘九郎襲名公演での、七之助、勘九郎の口上。失ったものは限りないけれど、二人にがんばってほしいです。

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