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團菊祭五月大歌舞伎「寿曽我対面」「勧進帳」「め組の喧嘩」

201905_2  團菊祭昼の部です。

 一つ目は「寿曽我対面」。令和の御代の始まりの最初の演目ということで、おめでたい曽我物をもってきたわけですね。昔は新春に必ず上演されたそうですが、私は最初に見たのが今年新春の歌舞伎座(「雪の対面」といういわばバリエーション)、新春浅草歌舞伎 、しかし今年はすでに3回目。

 若い座組で、曽我十郎(梅枝)、五郎(萬太郎)、小林朝比奈(歌昇)、大磯の虎(右近)、化粧坂少将(米吉)、八幡三郎・秦野四郎は鷹之資・玉太郎のSUGATAコンビ。そして工藤祐経が松緑。たしかにこの中だとちょっと年上で座頭格ですね。

二人の女方が美しくかわいくて、舞台が華やかです。朝比奈の歌昇は、最初誰だかわからなかったんですが、又五郎さんに台詞廻しが似ていて、立派な朝比奈でした。こういうお役もしっかりできるんだな。萬太郎の五郎は熱演ですが、やっぱり先輩たちはただ普通にやっているように見えて、たいへんな役なんですね。がんばれ。最後に新左衛門の坂東亀蔵出番ちょっとでもったいない。

二つ目は「勧進帳」海老蔵弁慶を見るのは初めて。聞いてはいたけれど、なんと表情豊かで、動きも美しい弁慶。独特の台詞回しも今回はさほど気にならず、ん?と思うところは少なくて、やはり若い頃から上演を重ねているだけあるなあ、と思いました。一行への合図などもはっきり見せたりして、観客にわかりやすい形に工夫しているようにも見えました。ただ、富樫の問答に答えたり、舞を舞ったりいろいろするのが得意気で、海老蔵ショーを見ているような気持ち。義経に対する敬意や思慕の念が足りないようにも思いました。

菊之助の義経は絶賛されてますが、美しく品のある義経。この一行にあっては、大事にお守りしたい存在です。松緑の富樫も立ち姿が美しく、海老蔵弁慶を見守るようで、私が思っていたよりもずっとよかった。四天王は右團次、九團次、廣松、市蔵と海老蔵公演を支える役者たちですが、右團次さんはもちろん、廣松の声がいいのに驚き。

正面の長唄、囃子方が並び、音楽がまっすぐ届き、その前の役者の美しい衣装、何度か見てきて、勧進帳の演目のすばらしさを感じられるようになってきた気がします。勘九郎がやってくれないかなあ。

三つめは、「め組の喧嘩」2015年の團菊祭でも見ていますが、菊五郎劇団でもベスト3に入る好きな演目。前回から4年たっていますが、菊五郎おやじさまがダイエットで少しほっそりされたので、むしろ若々しいくらいで、貫禄と男気のある誠に立派な辰五郎。しかも、この間、彦三郎・亀蔵兄弟や、松也、右近、萬太郎たちの役者ぶりが大きくなって、ますます充実して見ごたえのある、逆にぜいたくな一幕となりました。ほかにもいっぱい出ているんですが、(チラシの名前の数がすごい!)、萬次郎さんの次男光くんも久々の出演でした(それにしても去年の松竹座のめ組とずいぶん印象がちがう)

お仲(時蔵)になぜ喧嘩をしない、となじられながらふて寝した振りをして水杯を交わす、辰五郎の家の場が大好きなんですが、今月は倅又八に、亀三郎ちゃんが出ていて、生意気でお父さんが大好きな又八を熱演。これまで達者な子役ちゃんたちが、一人前の座り方をして笑いをとるのを見てきましたが、かめさぶちゃんは、浮かず7に芝居の中に溶け込んでいて、とっても上手でした。夜の部で丑之助が菊ちゃんに肩車されますが、かめさぶちゃんも彦兄に肩車されてました。

喧嘩の場面は工夫されていて見て楽しいのですが、3階から、回り舞台の向こう側まで見えるのは、なかなか新鮮でした。揃いの粋な法被の、宝塚かというような大勢のめ組、相撲取りたち。盛り上がったところに、甚三郎(歌六)が留め男として出てきます。ひーかっこいい。歌六さん、これから左團次さんのやってきたようなお役もやっていくんだろうな。

ということで、歌舞伎を代表する演目が並んだ昼の部で大満足でした。それにしても、菊之助ってば、勧進帳は台詞は少しですが、ずーっと舞台で形を作っている役、め組はいなせな若い衆、夜の部は、出演者皆に気を遣う息子の襲名披露、そして1時間を超える大曲娘道成寺、と、大大活躍。へんなドラマに出ている暇はないですね(すいません)。

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