2018年10月
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「通し狂言 平家女護島」@国立劇場

201810s      23年ぶりという、「平家女護島」の通し狂言です。鬼界ヶ島の俊寛の段はたびたび上演されていますが(先月歌舞伎座の秀山祭で吉右衛門さんのを見たばかり)、その前後に平清盛が出る段があります。俊寛と平清盛を芝翫が演じる成駒屋興行。

序幕は六波羅清盛館の場。流罪にした俊寛の妻東屋(あずまや、孝太郎)に我が物になれと迫る清盛(芝翫)。二人の会話に常盤御前が出てきて、東屋が自分は常盤と違う、というのが、一條大蔵卿の常盤を思い出してちょっと切ないです。

清盛の甥教経(橋之助)は、俊寛への操と清盛への恭順ともにたてよ言い(そんなこと言ってたんだ)、東屋は自害します。俊寛の郎党有王丸(福之助)がやってきて、教経に東屋の首をもらって帰ります。

今見られる中で、吉右衛門さんの俊寛以上のものがあろうはずがないので、通し狂言としてどうなんだろうと思っていたのですが、1幕目はまあ手堅くといった感じ。孝太郎さんはさすがうまいな、ここでいなくなっちゃうのがもったいないと思ってみてました。腰元の梅花さん、京妙さんも、短い場面ながら盛り上げてくれます。橋福兄弟はいい役もらってるな。

二幕はお馴染みの鬼界ヶ島の場、俊寛(芝翫)、成経(松江)、康頼(橋吾)、千鳥(新悟)、瀬尾(亀鶴)、丹左衛門(橋之助)。

秀山祭のときには、あの俊寛の悲劇と思ってみたら、とくに前半は、意外な軽さを感じたんですが、こちらはさして軽さは感じませんでした。亀鶴の瀬尾は、いい声のきっちりした瀬尾。千鳥は、雀右衛門さんもうまかったんですけど、やっぱり私は可憐な若い娘の方がいいなあと、新悟熱演でした。橋吾さんとってもよくて目を引かれました。

俊寛見せ場の去る船を追いかける場面、叫びに熱がこもり、いったん諦めたかと思ったらまた叫ぶ。自分で決めたことながら、どうにもならない悲しみが伝わってきました。

さて三幕は、厳島に赴くな船の清盛、後白河法皇(東蔵)。法皇を亡き者にしようと海に突き落とす清盛、そこを千鳥が救います(←海女だから泳ぎは得意)。有王丸に法皇を託した千鳥は、清盛の船で殺されてしまいます。清盛の前に、東屋と千鳥の亡霊が出て清盛は苦しめられますが…。

海を背景に船というのはうまい場面設定。この東蔵さんの法皇に気品と可愛げがあって最高でした。今回花外だったので、福之助の派手な立ち回りもよく見えました。千鳥の意外な大活躍で見事な海老ぞり。最後は清盛の派手な見得で終わって、何だかわかりませんがすかっとしました。

【伝統演芸館・黙阿弥の明治】

201810      終演後,、伝統演劇館で、明治150年記念として、幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎作者河竹黙阿弥に関する展示を見ました。ちょうど戸田康二さんの本で黙阿弥に関する一説を読んだところだったので興味深く。

展示品は錦絵(まだ時代が浅いので色鮮やか)や舞台写真が中心なんですが、白浪ものだけでなく、明治以降歌舞伎が政府の要人や上流階級の趣味になりうるよう奮闘した九代目團十郎とのかかわり、活歴、松羽目もの等、要領よい解説で、彼の功績がよくわかりました。

というか、河内山、髪結新三や魚屋宗五郎、幡随院長兵衛、紅葉狩、船弁慶等、今でもよく上演される面白い作品ばっかりじゃありませんか。こういう人がときどき現れてその世界を大きくするんですね。

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